演習(民法・財産法)
テーマ:民法財産法についての事例研究

 3つの観点を大切にして民法財産法の事例研究を行いたいと思います。

 最初の観点は、当該事例を通して、そのような法的問題が生じる社会現象を把握していきたいという点です。法律を勉強することは社会を勉強することであり、自己を社会との関係を決定づけることであると私は考えています。この点は法律家を志した私の原点であり、およそ10年の弁護士生活の中でも揺らぐことのない信念です。

 2つめの観点は、ゼミで勉強を通して法的思考能力と呼ばれるものを身につけていきたいという点です。みなさんは、本学卒業後、法曹界のみならず、さまざまな分野で仕事をされることになるでしょう。しかし、どのような職業においても、問題の核心を適確に把握し、これに対する解決方法を検討し、そして、自らの見解と異なる立場に立つ人の理解を得るために他人を説得する能力を養うことは大切なことと考えます。

 そして、3つめの観点は、言うまでもなく司法試験や司法書士試験に合格して法律家になることを希望するみなさんに、先輩法律家として、その勉強のお手伝いをしたいという点です。本学出身の法律家が一人でも多く育ってほしいというのは、昭和57年に本学を卒業した私自身の願いです。法律解釈能力の徹底した向上を図っていきたいと思います。

 具体的なゼミの運営方法としては、私が作成したゼミ教材を用いて、毎回1問ずつ架空の紛争事例を体験していただきます。その紛争当事者の一方当事者となって、他方当事者との間で討論を重ねていくシミュレーション方式を採用します。今年の主人公の名は「飯田橋太郎」ちゃんです。めでたく法政大学法学部に入学した飯田橋太郎ちゃんが、さまざまなトラブルと遭遇しながらも、たくましく成長していく姿を通して、皆さん自信にも前述した3つの知識、能力を養っていただきたいと考えています。入ゼミ段階の皆さんの能力を問うつもりはありません。ゼミを卒業する段階で、どれだけ皆さん一人ひとりが能力を伸ばしておられるか、私の関心はそこにあります。また、このシミュレーション問題とは別に数回は民法財産法の基本構造について、私とゼミ生とで討論するソクラテス方式によるゼミ運営も行う予定でおります。

 さらにもう一つ、私のゼミはゼミ生同士、そして、ゼミ生と教師との間の交流を大切にしたいと考えています。そのために、ゼミコンパ、ゼミ合宿は無論のこと、学祭参加、OB会の開催等通常のゼミ時間以外でも積極的にゼミ活動を行っています。これらの活動に参加いただくことが前提となります。

 鍛えれば必ずものになる、努力すれば報われる、そのような話はもはや真に受けるような年齢ではないと思いますが、だからといって、人生をあきらめるような年でもないはずです。

 自分の人生を自分の力で切り開きたいという意欲のある学生の参加を切望してやみません。

 来たれ若人、熱烈歓迎

 

・テキスト:本年度は、ゼミ教材『太郎ちゃんの冒険』を使用します。

・参考文献:必要があれば、ゼミ時間内にその都度、お話します。

 

(1998年度 法政大学 履修要綱より)



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